「そうだ、最近ね」


「ん?」


「葵が、また話しかけてくれるようになったの。あのときはごめんねって」


「そっか。よかったな」


先生が私の頭をなでてくれる。


「でも、ごめんねって言うのは私の方なのにね。葵が謝ることじゃないの」


「そう?」


「うん」


今は辛くて苦しい道のりだけど、これを乗り越えたらきっと明るい未来が待ってる。


「ねえ、先生。ピアノ弾いていい」


「ああ」


先生の膝から立ち上がって、ピアノの椅子に座る。


明るい曲にしよう。


私たちが前に進めるような、明るい曲。


少しずつ、着実に前に進んでいこう。