音を奏でて~放課後の音楽室~

「ちゃんと向き合うこと」


「向き合う?」


「そう。向き合う」


ポンと頭に手を置かれ、親指だけで私のこめかみ辺りをなでる。


「優音は親に、俺はピアノ。ちゃんと向き合う」


「でも・・・」


親と向き合うなんて、そんなの出来ないよ。


向き合うってなに?


どうすればいいの?


「優音?」


「先生。向き合うって、どうすればいいの?」


「優音がどうしたいか、ちゃんと言って」


「そんなの言えないよ」


今まで親の言葉には、反抗しないでいい子をしてきた。


それなのに、そんな風に自分の意見を言ったら親に嫌われちゃうよ。