優音はいい子だから。


それが、両親の口癖だった。


いい子だから、おじいちゃんとおばあちゃんとお留守番出来るよね?


いい子だから、我慢できるよね?


いい子、いい子・・・


ああ、私はいい子にならないといけないんだ。


幼いながらに、そう思ったし。


花音は病気で、私は元気。


だから、お父さんとお母さんを花音にあげよう。


そうも思った。


私はいい子なんだから、勉強も運動も出来ないといけない。


そう思って、勉強も運動も頑張ってきた。


でも心のどこかには、一番になれば親が私の方を見てくれるんじゃないかって、淡い期待を抱いていた。


でもそれは、私の期待に過ぎなくて。


親が振り向いてくれることはなかった。