決めたんだよ、就職するって。


それでも流れてきそうになる涙を、必死にこらえる。


「やっぱり、まだ決心はついてない?」


「そんなことない」


身体が浮いて、先生の膝の上に座らされる。


首に腕を回すと、先生が私の頭をゆっくりとなでた。


「優音」


「ん?」


「二人で、どこかに逃げようか?」


「うん」


それは、非現実的な話。


夢のまた夢の話。


「でも、逃げれないんだよな」


「うん」


分かり切ってることなのに、現実から逃げることが出来たらどんなにいいかと思ってしまう。