「はい。どうぞ」


「ありがとうございます」


差し出されたカップを受け取ると、中身はブラックには程遠い茶色のカフェオレ。


「これ、違う」


先生のカップを覗くと、そっちはちゃんとしたブラックコーヒー


「そんなに飲みたい?」


こくんとうなずく。


「じゃあ、飲ませてあげる」


そう言った先生が、カップに口をつける。


「あっ、欲しいって・・・んっ」


私の言葉は先生のキスで飲みこまれ、代わりにブラックコーヒーが口の中に入ってくる。


「苦い・・・」


口の中に広がる苦みに耐えられず、慌てて甘いカフェオレを飲む。


「ほら。飲めないものを飲むもんじゃない」


「だって。先生おいしそうに飲むんだもん」