「ラヴェルの水の戯れ、がいい」


「はーい」


先生のリクエストに答える。


ピアノを弾くときは私が勝手に弾くことが多いけど、たまに先生がリクエストしてくる。


そのときは、いっぱい気持ちを込めて弾く。


先生の心に届きますようにって。


「ふう」


「よかったよ」


弾き終わって息を吐くと、先生が褒めてくれた。


「ありがとうございます」


「少し休憩しよう。こっちにおいで」


「はい」


先生の隣に座って、スコアを覗く。


「これ、今部活でやってる曲?」


「そうだよ」