それからどれくらいたったんだろう?


いつの間にか眠っていた私は、どこからか吹く風に目を覚ました。


「先生?」


寝かされていたソファーから身体を起き上がらせる。


その瞬間、身体に掛かっていたブランケットがソファーの下に落ちた。


「起きた?」


窓を少し開けてタバコを吸っていた先生が、灰皿でタバコを消し窓を閉め、私の隣に座った。


落ちたブランケットを拾って、もう一度私に掛けてくれる。


「タバコ」


「ああ。少しだけ」


「みちる先生の屋上で、少しタバコの匂いしたの」


「あのときも、吸ってたから」


前に夕ご飯をみちる先生のところで食べさせてもらったとき、屋上に先生を迎えに行った。


そのときしたタバコの匂いは、先生のものだったんだ。


「もう遅いから、送って行くよ」