音を奏でて~放課後の音楽室~

コツンとおでこ同士がぶつかる。


「名前、呼んでください。いっぱいいっぱい呼んで」


「優音、優音、優音」


先生が何回も何回も名前を呼んでくれる。


「名前」


「うん」


「おばあちゃんがつけてくれたの」


「そっか」


少しだけ身体が浮いて、先生の膝の上に座らされた。


「花音、妹の名前ね。それもおばあちゃんがつけてくれたの」


「うん」


先生の首に腕を回す。


「おんなじなの。おばあちゃんがつけてくれたってこと」


「うん」


「それなのに、お母さんもお父さんも、花音みたいに私の名前呼んでくれない」