音を奏でて~放課後の音楽室~

「いいよ」


ソファーから起き上がり、先生の隣にペタンと座る。


「先生」


「ん?」


「やっぱり、頭なでて」


先生が私の方を見て一瞬笑みを浮かべると、パタンと本を閉じた。


それから私の方に身体を向けて、頭をなでてくれた。


「先生」


「ん?」


「いい子は嫌です。もう、いい子は疲れました」


「うん」


先生の手が、私の頬を包む。


「いいよ、俺の前ではいい子でいなくて」


「ほんと?」


「ああ。ほんとの優音を見せて」