音を奏でて~放課後の音楽室~

「みちる先生が好きな内田先生のピアノって、どんな音がするんだろう?」


「あの子はね、とっても優しい音を出すのよ。綺麗で、とっても優しい音」


「私も、聞いてみたいな」


いつか、内田先生がピアノを弾いてくれるときがくるかな?


弾いてくれたら、嬉しいな。


「ごめんね、ヘンな話して。さっ、仕上げしちゃおうか」


「はい」


もう一度最初から曲を弾き直す。


「うん、いい感じ。じゃあ、最後にここだけやってみて」


「はい」


少し難しいところをもう一回弾いて、今日のピアノ教室は終了した。


「お待たせ」


みちる先生と一緒に先生の家の方に行くと、内田先生がリビングのソファーで新聞を読んでいた。


「行ける?」


「はい」