「彼女、ずっと自分を責めてたんだよ」


「えっ?」


その言葉に、思わず先生を見つめてしまう。


「優音が部活を辞めたのは、自分のせいだって」


先生が靴を履いて、玄関を開ける。


私もロファーを履いて、部屋を出た。


「優音はなんでも出来るから、ちょっと悔しくなって意地悪しちゃったんだって。それがいつの間にか、優音を追い詰めたって」


「バカだな、葵は。私が部活を辞めたのは自分の意志だし、そんなこと思わなくていいのに」


私が部活を辞めることで、みんないい方向に向かっていくと思ってた。


でもそれは違ってたのかな?


葵や、他のみんなを苦しめてたのかもしれないね。


「私、葵を苦しめてたんだね」


「それは君も同じだろう?君だって苦しんだ」


先生が私の腰の辺りに手を添えて、歩くのを促す。


「うん、でも。私がしたことは、自分がその苦しみから逃げたかっただけなのかもって」