音を奏でて~放課後の音楽室~

私たちはきっと似た者同士なんだね。


「少し眠って。起きたら、家に送って行くよ」


先生が振り返って、頬に当たってる髪を耳にかけてくれる。


「じゃあ、眠りたくないです」


「ワガママ言わない」


「ワガママになっていいって言ったのは先生です」


「まあ、そうだけどね」


先生が困ったように笑う。


「ウソです」


ソファーから起き上がる。


「ごめんなさい、ワガママ言って。もう帰ります」


「まだ顔色が悪い。もう少し横になって」


「でもこのままここにいたら、帰りたくなくなっちゃうから」


なんだかここは、居心地がいい。


でもどんなに家が嫌でも、今私の帰る場所はそこしかないから、この居心地がいい空間に慣れる前に帰らないと。