音を奏でて~放課後の音楽室~

「それから、別の部屋にある楽譜たち。全部親が出したものなんだ。だから死んでもお金が入ってくる」


「だから・・・」


「そう。だからこんな部屋に住んでられる」


先生が私の前にしゃがんで、ゆっくり私の身体をソファーに寝かす。


私の身体は、大きなソファーにすっぽり収まった。


「少し待ってて」


そう言って部屋を出て行った先生は、少ししてタオルケットを抱えて戻ってきた。


それをそっと、私の身体に掛けてくれる。


そのまま先生は、ソファーに背中を預けてカーペットの上に座った。


「あのピアノは、よく母親が弾いてた」


私に背を向けたまま、淡々と話し出す先生。


「俺も、よく弾いてた」


「先生も?」


「ああ。事故に合うまでは」


そういえば、前に病院で会ったときに事故に合ったって言ってたっけ。