音を奏でて~放課後の音楽室~

数日前から風邪気味だった私は、その日起きたら頭がガンガンして熱があることに気付いた。


いつもならおばあちゃんがいるけど、もう家にはいない。


だから、お母さんに言ったの。


「お母さん。頭痛い、風邪ひいたみたい」


「えっ?」


そしたらお母さんは、少し怪訝そうな顔をして私の額に手を置いた。


「病院行くから、着替えてきなさい」


「うん」


どこか怒ったようなお母さんの表情。


「まったく、どうして花音の具合が悪いときに優音まで熱出すのよ」


着替えようと部屋に戻ろうとしたとき、こう呟くお母さんの声が聞こえた。


そうか、お母さんが怒ってるのは私のせい。


花音の具合が悪いのに、私が風邪ひいたから。


「ごめんなさい」


小さく呟いて、私はリビングを出た。