私がこんな状態になってるなんて、きっと誰も知らない。


親だって気づいてない。


だってお母さんもお父さんも、花音のことで手いっぱいだもん。


おばあちゃんが亡くなってから、花音の体調は良くない。


お医者さんは精神的なショックが大きいと言ってるみたいだけど、高熱が何日も続き、ほぼ毎日といっていいほど喘息の発作が起きてる。


お母さんは朝から病院に向かい、花音の調子が最悪なときは病院に泊まってくる。


お父さんも、会社帰りには必ず病院に寄ってくる。


私は、ずっと家に引きこもったまま。


家を出るのは、ピアノ教室に行くときくらい。


みちる先生は毎回ご飯に誘ってくれるけど、今はそれも断って家に帰って来てしまう。


だって、食べたら吐いてしまうから。


具合が悪いって、お母さんに言えたらどんなに楽だろう。


でも、怖くて言えない。


前にこんなことがあった。


あれは、おじいちゃんが亡くなって、おばあちゃんが施設に入所したすぐのこと。