おじいちゃんとおばあちゃんがこの家からいなくなって、気付いたんだ。


ただいまって言って、おかえりって返事が返ってくることが、どれだけ幸せなことかって。


誰もいないリビング。


誰もいないキッチン。


誰もいない和室。


「うっ・・・」


さっき無理に食べすぎちゃったかな?


また吐き気に襲われる。


「もう、しっかりしないと」


いつまでもクヨクヨしてちゃダメ。


強くならないと。


親、おばあちゃん、みちる先生たち、誰にも頼らないで生きていこう。


この家も出ていこう。


「私なら出来るよね?」


呟いた声は、誰もいない家に吸い込まれていった。