音を奏でて~放課後の音楽室~

「ねえ、優音ちゃん」


「はい?」


食事を終えてリビングでくつろいでるとき、急に樹さんが口を開いた。


「本当にいいの?もし優音ちゃんが望むなら、大学の学費は俺が出すよ」


「樹さん・・・」


でも、私が樹さんを頼っていい理由はどこにもない。


「私も思ったんだけどね。優音ちゃんが大学に行きたいって思うなら、私たちは喜んでお金を出すわよ」


「みちる先生・・・」


どうして二人は、こんなに優しいんだろう?


私なんかのために。


「うん、ありがとう。でも私、もう決めたから」


甘えられないよ。


甘えちゃいけないよ。


「ありがとう。二人がそんな風に言ってくれて、すごく嬉しい」


私は、その気持ちだけで十分だよ。