音を奏でて~放課後の音楽室~

テーブルにつくと、みちる先生が器にお鍋の具をよそってくれた。


今日は、塩味のお鍋みたい。


たっぷりの野菜に、魚、肉団子なんかも入ってる。


「いただきます」


湯気がほわ~と立ちこめる器。


いつもならすぐに手をつけるのに、やっぱり食欲がわかない。


それでも、少しだけ口に入れる。


「やっぱり、日本食はいいな~」


「もう、夏に鍋とかないわよ」


樹さんの言葉に文句を言いながらも、みちる先生はなんだか嬉しそう。


やっぱり樹さんが帰って来て、嬉しいんだよね。


「ほら。今回の演奏の話してよ」


「ああ」


お鍋の白菜を噛みしめながら、樹さんの話に耳を傾ける。


内田先生も鍋を突っつきながら、静かに耳を傾けてるようだった。