音を奏でて~放課後の音楽室~

それからどれくらい眠ったか分からない。


でも気づいたときには、窓から夕日の光が降り注いでいた。


「おっ、優音ちゃん起きた?」


「あれ?樹さん?」


「うん。さっき帰ってきた」


私と反対側のソファーに、いつの間にか樹さんが座っていた。


「おかえりなさい」


眠い目を擦りながら、起き上がる。


「ただいま」


半袖のワイシャツに黒のスラットしたズボンを着こなして、おじさんと呼ばれる年齢なのに樹さんはすごくカッコいい。


「優音ちゃん、抱っこさせて」


「もう。私、子供じゃないですよ」


小さなころから、樹さんに会うたび抱っこしてくれた。


今もたまに会うと、抱っこさせてと言われるんだよね。