「大丈夫だよ、先生。痩せてないから」


本当は、この数週間でかなり痩せてしまった。


「私は大丈夫」


もう、みちる先生に言ってるのか、自分に言ってるのか分からない。


もしかしたら、自分に言い聞かせてるだけかも知れない。


「大丈夫なの」


「そっか」


大丈夫だって繰り返す私に、みちる先生は優しく微笑んだ。


「でももう、今日は終わりよ?」


「もっと弾きたいよ。教えて、先生」


「そうね。じゃあ今日は家で夕ご飯食べていってくれる?」


ああ、みちる先生は分かってるのかもしれない。


私がご飯食べられなくなってるの。


だからこうやって、ケーキとか夕ご飯とか言うのかな。


「うん。夕ご飯、ごちそうになるね」