「今日はもうおしまい。ケーキがあるんだけど、一緒に食べない?」


「でも、他の生徒さん来ないの?」


「今日は優音ちゃんが最後なの」


そう言ってみちる先生は、ニッコリ笑った。


「おいしいケーキなのよ?」


「でも私、もう少し弾いてたいよ」


正直、ケーキは食べられない。


ご飯だってまともに口にしてないのに、ケーキなんか食べたら吐いてしまうかもしれない。


どうしても胃が食べ物を受け付けない。


「ねえ、優音ちゃん。少し痩せたんじゃない?」


「そんなことないよ」


みちる先生に見つめられて、思わず目をそらす。


「指だってもともと細いのに、もっと細くなっちゃって」


「そんなことないよ」


みちる先生は私の手を取り、そっと擦る。