音を奏でて~放課後の音楽室~

先生が椅子を出してベットの隣に置き、それに座った。


「そういえば、保健室の先生は?」


「夏休みだから、いないよ」


「そっか。でも、鍵」


「運動部があるからね。開いてるんだ」


先生の大きな手が、私の頬に触れる。


「具合が悪いなら、ちゃんと親に言わないとダメだよ」


「言ったことがないの、先生」


「どうして?」


「傍にいてくれないから。傍にいてくれたおばあちゃんも、今は病院だから」


頬をなでる手が温かくて、だんだん瞼が落ちてくる。


「おばあさん、また入院してるんだね」


「目が覚めないの。ずっと声かけてるのに」


「そっか」


「このまま死んじゃったらどうしよう」