音を奏でて~放課後の音楽室~

「ここにいたんですか」


どれくらいそうしていたかは分からないけど、ふと聞こえた内田先生の声に顔を上げた。


「どうしてここに?」


「お母さんだけ帰るのが見えたからね。どこかにいるかなって」


「何か用ですか?」


先生から顔をそむける。


「さっきの面談のこと。本当にそれでいいの?」


「いいんです。お金のことは、私じゃどうしようもないから」


「音大はどうする?」


「諦めます。もうこの話はいいですよね?帰りますから」


椅子から立って先生の横を通り過ぎる。


そのとき、先生にバッと腕を掴まれた。


「大学なら、奨学金とか借りれば通える」


「確かにそうかもしれません。でも大学に通えたって、生活出来なきゃ意味ないです。親は私に、自分で生活出来るくらいはして欲しいって言いました」


だから私は、大学を諦めたの。