「えっ?就職ですか?」


夏休みの三者面談。


お母さんから就職の言葉を聞いた内田先生は、すごく驚いた顔をした。


「実は、今家に入院してるのが二人もいて。正直、優音を大学に通わせてあげられるお金がなくて」


「そうですか」


お母さんと先生の話を、私はお母さんの隣でギュッと唇を噛みしめながら聞いていた。


「でも、今から就職というのは・・・」


「厳しいのは分かってます。どうしてもダメなら、バイトでもなんでもいいんです」


「優音さんは、それでいいのかな?」


先生がお母さんから私に視線を向ける。


「はい。それでいいです」


俯いたまま、小さな声で答えた。


「分かりました。僕の方でも頑張ってみますので」


「お願いします」


先生に頭を下げるお母さんと一緒に、私も小さく頭を下げた。