特に用がなかったから、私はそのままリビングを通り過ぎようとした。


「優音、ちょっといい?」


「えっ?」


いつもなら私のことなんか気にしないお母さんが、少し開いていたドアから私を呼びとめた。


「なに?」


「ちょっと話があるの」


リビングに促されて、ソファーに座る。


私の目の前のソファーには、お父さんとお母さん。


何なんだろう、一体。


「優音、大事な話があるんだ」


「大事な話し?」


いつにもまして、真剣なお父さんとお母さん。


「おばあちゃんの今の状況、分かってるな?」


「うん」


こくんとうなずく。