「おばあちゃん」


夏休みに入り、毎日私はおばあちゃんのところを訪れていた。


おばあちゃんまだ、目を覚まさない。


「今日ね、吹奏楽の大会なの。私は出ないけど、見に行ってくるね」


何も答えないおばあちゃん。


「いってきます」


それでも私は、いっぱい声をかけて病室を出た。


バスに乗って、会場になってる文化会館に向かう。


この地区大会で金賞を取ったら、県大会に行けるの。


やめたくせに、部活が気になってしょうがない。


バスを下りて、歩いて2分くらいで会場に着いた。


各学校の子たちが、一生懸命楽器を会場内に搬入してる。


その中に、うちの部活の子たちも混じっていた。


誰にも見つからないように受付を通って、席に座る。


席について、貰ったパンフレットに目を通した。