それから数日後、私が吹く予定だったソロは、他の3年が吹くことになったと先生が教えてくれた。


それからまた数日後。


今日で1学期が終わる。


私が部活をやめたからって、特に誰かから反応があるわけでもなく、ただ淡々と毎日が過ぎていった。


午前中で学校が終わり、放課後になるまで時間をつぶす。


誰もいなくなったころを見計らって、音楽準備室に入る。


「あった」


中学のときから使ってきたクラリネット。


置きっぱなしになってたから、家に持ち帰ろうと思い放課後まで残ってたの。


「ごめんね、最後まで吹いてあげられなくて」


ピアノと同じくらい、大切な楽器。


おじいちゃんとおばあちゃんが買ってくれた、大切な楽器。


「これからもちゃんと吹くからね」


誰もいない音楽準備室。


クラリネットの入ったケースを、そっと抱きしめた。