「あっはい。いましたよ」


「ありがとう。暗くならないうちに、ちゃんと帰ってね」


「はい」


三人で教室を出て、二人が階段を下りるのを見届ける。


そのまま私は、音楽室に向かった。


音楽室に入ると、内田先生が生徒用の椅子に座り、スコアに目を通していた。


ドアが閉まった音で顔を上げると私を見て、優しく微笑んだ。


「あの、戻ってこなくてごめんなさい」


「いや。なんとなく、戻ってこないような気がしてたから」


パタンと小さな音を立てて、先生はスコアを閉じた。


「先生」


「ん?」


「私、部活やめます」


「そう。こっちにおいで。話を聞かせて」


こくんとうなずいて、先生の隣に座る。