「あの、優音先輩と葵先輩、あのときからずっとケンカしてますよね」


もう一度教室に入って、二人と向かい合うようにして椅子に座る。


それと同時に放たれた言葉に、私は苦笑いを浮かべるしかなかった。


「今日みたいなことが何回か続いて、正直私たち意心地が悪くて」


「優音先輩だけに言えばいいことじゃないと思うけど、でも先輩、部長だし」


申し訳なさそうに話す後輩二人。


この子たちは、サックスとトランペットをやってる。


部活に取り組む態度も真面目で、次の部長と副部長の候補。


「ごめんね。やっぱり、意心地悪いよね」


申し訳なさそうにしながらも、小さくうなずく二人。


「ごめんね。ちゃんと元通りにするから」


「優音先輩」


「だから、二人はいつも通り練習して?私、二人の音大好きだから」


ニッコリ笑ってみせると、後輩二人も安心したような顔を見せる。


「そうだ。内田先生、まだ音楽室にいた?」