音を奏でて~放課後の音楽室~

「私が、我慢すればいいんだよね」


私がいなくなれば、部活はきっと元通りになる。


だから、私が部活をやめればいい。


「でも、やめたくないな」


そう呟いた言葉は、誰もいない教室に吸い込まれていった。


好きなんだよ、吹奏楽。


みんなでひとつの曲を作り上げる。


一人でピアノを弾いてるときには感じられない、その感覚が大好き。


でもこうなってしまったのは、私の責任。


だったら、私が責任取ってやめるしかないよね。


クラリネットに息を吹き入れる。


「なんだろ?上手く音が出ないな」


ああ、そうか。


私、泣いてるんだ。


だからクラリネットが、いつものように音を出してくれないんだ。