音を奏でて~放課後の音楽室~

みんなの視線が、一気にドアに移る。


「音楽が止まってます」


そこには、いつもより怖い顔をした内田先生が立っていた。


「生徒同士のことに首を突っ込むつもりはありませんが、部活の雰囲気を壊すことだけはやめてください」


「すみません」


私の傍まで来た先生に謝る。


「いえ。清水さんも自分の席に戻ってください」


「あっ、楽器が冷えてると思うんで、外で少し音出しして来てもいいですか?」


「分かりました。そうしてきてください」


「はい」


楽器を持って、廊下に出た。


誰もいない教室に入って、ホッと息を吐く。


先生が音楽室に入ってきてくれなかったら、きっと私は葵に言い返してたに違いない。


そしたら、もっと音楽室の雰囲気は悪くなってたと思う。


このままだったら、部活に集中したい子が集中出来なくなる。