音を奏でて~放課後の音楽室~

私は、いつも先生が言わないところは注意してないと思う。


先生が気づかなくて、私が気づくところなんてほとんどないから。


今注意したところは、昨日先生にも注意されてたところ。


「優音って、実は先生より音楽出来るって思ってない?」


葵の言葉に、さっき葵といつまでもしゃべっていた3年生がクスクスと笑った。


なんかもう最悪。


音楽は止まるし、音楽室の雰囲気はどんどん悪くなるし。


でもここで私が何か言い返したら、ますます雰囲気は悪くなる。


「じゃあ、もう一回最初から」


いろいろな言葉を飲み込んで、絞り出すようにそれだけ言う。


「あれ?言い返してこないってことは、もしかして図星?」


それなのに葵は、さらにそんなことを言ってくる。


「はい。そこまで!」


その声と共に、バタンと大きな音がして音楽室のドアが閉まった。