この状況は、一体何?


どうしておばあちゃんが、救急車に乗らなきゃいけないの?


「優音」


私に気付いたお父さんが、駆け寄ってくる。


「おばあちゃん・・・」


「急に倒れたんだ。今すぐ病院に行ってくるから、家で待ってなさい」


そう言うとお父さんは、救急車に乗り込んだ。


すぐに救急車は出発した。


上手く息が出来ない。


頭の中で、救急車のサイレンの音がワンワン響く。


「花音、もう泣かないの。少し横になろう」


花音に話しかけるお母さんの声が、妙に遠くに聞こえた。


「清水さん」


玄関の閉まる音と、先生の心配そうな声が同時に聞こえる。


ただそれでも、私はその場に立ち尽くすことしか出来なかった。