花音じゃなかった。


「おば・・・ちゃん」


目の前で起こってることが理解出来なくて、私はそこにボー然と立ち尽くしていた。


「どいてください!」


担架が私の方に来るにも関らず、身体が動かない。


「清水さん」


気づいたときには、先生にぐっと腕を引かれ門の横に立っていた。


「大丈夫ですか?」


「あっ・・・」


先生に聞かれても、言葉がなにも出て来ない。


おばあちゃんの乗ってる担架に続いて、お父さんとお母さんと花音が出てくる。


「おばあちゃん!」


花音が泣きながら、おばあちゃんって何回も呼んでる。


「花音、落ち着きなさい。おばあちゃんなら大丈夫だから」


お母さんが必死に花音をなだめていた。