「ん?」


「どうしてそんなに、私のこと分かるの?」


「言っただろ?君は、俺に似てるって」


先生に背中を押されて、また歩き出す。


「どこが、似てるんですか?」


「いろいろだよ」


先生はそれ以上、何も答えてくれなかった。


「あの、もうここで大丈夫です」


あとは角を曲がるだけというところで、足を止める。


「ここを曲がればすぐなので」


「じゃあ、そこの角だけ一緒に曲がろうか。家に入るところを見届けないと、みちるさんに怒られる」


「先生、みちる先生には頭が上がらないんですか?」


「そうだね。あの人には、お世話になってるから」


先生はフッと笑みを漏らすと、角を曲がるために歩き始める。


私もその後を追うように、足を出した。