「よ………四って、やっぱりすげえな、お前………」
バリーが口をぱくぱくと開閉させ、溜息混じりに呟く。瞬前まで内緒話をしているかのようにひそひそと会話を行っていた周囲の輩は、一人、また一人と静けさを取り戻し去ってゆき、遂に僕の周りに立つ人物はバリーとクレイのみとなった。
何と無く畏縮してしまっていた僕は、自分の近辺に見知らぬ人が居なくなったのを確認してからゆっくり開口する。
「………そんなに凄い事なの、四体撃墜って」
怖ず怖ず発声してみると、バリーとクレイは見事に同様の反応―――呆れたような表情をしつつ、眉を額の中央に強く寄せ、「はぁ?」と素っ頓狂な声を上げた―――を示した。とても先刻いがみ合っていた二人だとは思えない程に息が合っている。
これを阿吽の呼吸というのだろうなぁ。
そんな悠長な事を考えていると、どこと無く怒りを含んでいるように聞こえる声色で、クレイが話を切り出した。
「あのねぇ………機体操縦説明を無理矢理に脳内に叩き込まれただけの一般兵士が、普通あんなの四体も倒せると思ってるの?条件の一体撃墜だって満たせていない人もいるのよ」
………そうだったんだ。
あのチュートリアルにて脱落者が出た事を知らなかった僕は、「えっ」と思わず声を漏らす。
クレイはそれに対して余計な反応を一切取ることなく、話を進めた。
「三人、脱落したわ。後の私達を含めた七人は何とか一体以上の撃墜という条件をクリアーし、晴れて最終試験に臨めるようね。………ま、ここまで来てチュートリアルで不合格にされるなんて彼等は思ってもいなかっただろうから、多少可哀相ではあるわね」
「確かにな。―――それにレイ、これで解ったろ?お前の凄さがさ」
クレイの話に相槌を打ったバリーは、無垢な少年のように目を輝かせ僕を見た。
「俺なんて、一体が限界さ。倒した途端に、ボロボロだった機体の背後から別の標的の銃弾が飛んで来て―――おしまいさ」
「バリーと一緒ってのは気にくわないけど、私も似たようなものね。一体を撃墜して、次の目標との交戦中に挟撃されてやられちゃった」
クレイは両手を左右に広げ、「やれやれ」といった風にポーズを取った。
それを見て、僕等二人は顔を見合わせ苦笑する。
バリーが口をぱくぱくと開閉させ、溜息混じりに呟く。瞬前まで内緒話をしているかのようにひそひそと会話を行っていた周囲の輩は、一人、また一人と静けさを取り戻し去ってゆき、遂に僕の周りに立つ人物はバリーとクレイのみとなった。
何と無く畏縮してしまっていた僕は、自分の近辺に見知らぬ人が居なくなったのを確認してからゆっくり開口する。
「………そんなに凄い事なの、四体撃墜って」
怖ず怖ず発声してみると、バリーとクレイは見事に同様の反応―――呆れたような表情をしつつ、眉を額の中央に強く寄せ、「はぁ?」と素っ頓狂な声を上げた―――を示した。とても先刻いがみ合っていた二人だとは思えない程に息が合っている。
これを阿吽の呼吸というのだろうなぁ。
そんな悠長な事を考えていると、どこと無く怒りを含んでいるように聞こえる声色で、クレイが話を切り出した。
「あのねぇ………機体操縦説明を無理矢理に脳内に叩き込まれただけの一般兵士が、普通あんなの四体も倒せると思ってるの?条件の一体撃墜だって満たせていない人もいるのよ」
………そうだったんだ。
あのチュートリアルにて脱落者が出た事を知らなかった僕は、「えっ」と思わず声を漏らす。
クレイはそれに対して余計な反応を一切取ることなく、話を進めた。
「三人、脱落したわ。後の私達を含めた七人は何とか一体以上の撃墜という条件をクリアーし、晴れて最終試験に臨めるようね。………ま、ここまで来てチュートリアルで不合格にされるなんて彼等は思ってもいなかっただろうから、多少可哀相ではあるわね」
「確かにな。―――それにレイ、これで解ったろ?お前の凄さがさ」
クレイの話に相槌を打ったバリーは、無垢な少年のように目を輝かせ僕を見た。
「俺なんて、一体が限界さ。倒した途端に、ボロボロだった機体の背後から別の標的の銃弾が飛んで来て―――おしまいさ」
「バリーと一緒ってのは気にくわないけど、私も似たようなものね。一体を撃墜して、次の目標との交戦中に挟撃されてやられちゃった」
クレイは両手を左右に広げ、「やれやれ」といった風にポーズを取った。
それを見て、僕等二人は顔を見合わせ苦笑する。

