『ケイコク。キタイソンショウ、90パーセント。キケンイキ、トッパ。チュートリアルヲ、キョウセイシュウリョウシマス。』
女性のものと取れる高い声は、《ジャッジマン》の装甲が限界に近い事と、それによりチュートリアルの継続が不可能となったという事を明瞭に告げる。
と同時に、耳障りなブザーは次第にその音量を弱め、鮮血が散布したかのように紅く染まっていたコクピット内は、ランプの光がその輝きを失うことで平常通りの色を取り戻した。
気が付けば、銃声は止んでいた。
はっとし、僕はメインカメラから覗く光景に目を遣った。
そこには先程まで存在した果てしない空や大地は見当たらず、あるのは始めに目にした、全ての余計を省いたかのように白い正方形の部屋だった。どうやら、呆けている間にチュートリアルは完全に終了していたらしい。僕はいつの間にか問題なく動くようになっていた両腕をきつく握りしめた。
あと、一体だったのに―――。
何故か僕の頭にはその事ばかりが繰り返され、全機を撃墜出来なかったということが、自分でも不思議なくらいに奇妙な荷重となり僕の肩へとのしかかっていた。
それが妙なプライドから悔しさなのか、それとも訳も解らず動かなくなった自身の身体へ対する苛立ちなのか。また或は―――得体の知れない何かへの恐怖であるのか。
自分でも判別のつかない強烈な感情は寄り所を希求しさ迷う。行き交う思いは愚痴という形を成して口から零れ落ちた。
「一体全体、何だって言うんだ………くそっ」
呻くようにそう呟くと、長い沈黙を守り続けていたスピーカーから、初めのチュートリアルを行った際の女性の声が響き渡る。
『………チュートリアルは、これで終了となります。これより最終テストを行いますので、システムをダウンします。お疲れ様でした。』
言い終えた途端に、ぶつりと拡音器からの音が途絶える。
瞬間、眼前に顔を思わずしかめてしまう程にまばゆい光が拡がる。光は徐々にその輝きを増していき、純白のヴェールに完全に包まれた所から仮想データの消滅が始まった。
僕の身体も光に包み込まれると、指の先端から崩壊を始め、遂に粒子となり、消え去ったのだった。
女性のものと取れる高い声は、《ジャッジマン》の装甲が限界に近い事と、それによりチュートリアルの継続が不可能となったという事を明瞭に告げる。
と同時に、耳障りなブザーは次第にその音量を弱め、鮮血が散布したかのように紅く染まっていたコクピット内は、ランプの光がその輝きを失うことで平常通りの色を取り戻した。
気が付けば、銃声は止んでいた。
はっとし、僕はメインカメラから覗く光景に目を遣った。
そこには先程まで存在した果てしない空や大地は見当たらず、あるのは始めに目にした、全ての余計を省いたかのように白い正方形の部屋だった。どうやら、呆けている間にチュートリアルは完全に終了していたらしい。僕はいつの間にか問題なく動くようになっていた両腕をきつく握りしめた。
あと、一体だったのに―――。
何故か僕の頭にはその事ばかりが繰り返され、全機を撃墜出来なかったということが、自分でも不思議なくらいに奇妙な荷重となり僕の肩へとのしかかっていた。
それが妙なプライドから悔しさなのか、それとも訳も解らず動かなくなった自身の身体へ対する苛立ちなのか。また或は―――得体の知れない何かへの恐怖であるのか。
自分でも判別のつかない強烈な感情は寄り所を希求しさ迷う。行き交う思いは愚痴という形を成して口から零れ落ちた。
「一体全体、何だって言うんだ………くそっ」
呻くようにそう呟くと、長い沈黙を守り続けていたスピーカーから、初めのチュートリアルを行った際の女性の声が響き渡る。
『………チュートリアルは、これで終了となります。これより最終テストを行いますので、システムをダウンします。お疲れ様でした。』
言い終えた途端に、ぶつりと拡音器からの音が途絶える。
瞬間、眼前に顔を思わずしかめてしまう程にまばゆい光が拡がる。光は徐々にその輝きを増していき、純白のヴェールに完全に包まれた所から仮想データの消滅が始まった。
僕の身体も光に包み込まれると、指の先端から崩壊を始め、遂に粒子となり、消え去ったのだった。

