捨て台詞を吐いてその場を離脱したものの、私は憤怒に気も狂わんばかりだった。

完璧な改造を施した筈のMHⅡの、自我の覚醒。

しかもあろう事か、この私に、そして機関に対する反逆。

飼い犬に手を噛まれるとはこの事か。

更には同性能の筈のこの私が、一方的に手傷を負わされるとは…!

屈辱に身を震わせる。

屈辱。

そう。

任務の為には不必要な、感情を廃した筈のMHが屈辱を感じる筈がない。

私自身は、脳改造を施してはいなかった。

機関の幹部として、MHを指揮する者として、人間の脳を失う訳にはいかなかったのだ。