蝉時雨を追いかけて

 

***


 九時ごろになって、ようやくおかっぱはおれの部屋にきた。


「まったく、そんなにオレに会いたいなんて、しかたない子ねえ」


 おかっぱはそんなにおれに殴られたいのだろうか。

おれのストレスを増加させるセリフをはき、ベッドの上にダイブした。

仰向けの状態から、少しだけおれのほうに顔を向ける。


「それで、なにから聞きたいの?」


「そうだな、まずはなんで茨木さんといたのか教えてもらおうか」


「アラヤダ、いきなり核心を突くのね。そうねェ、最初は拓海のためだったけど、今は自分のためってところかしら」


 またおかっぱは、ずいぶんとまわりくどい言い方をする。

言うならばはっきりとわかりやすいように言ってほしい。