***
「拓海、なかなかカッコよかったじゃないの。それでこそオレの拓海よ」
部活終了後、部室で着替え中のおれにおかっぱが声をかけてきた。
おかっぱはなぜかスーツに着替えていた。
「何度も言うようだが、おれは断じておまえのおれではない。それと、なんでスーツなんか着てるんだ?」
「ななななんでもないわよ。そそそれと、今日の夜練、お、お休みさせてもらえないかしら」
「なんで?」
「ななななんでもないわよ。それじゃあね。あはは、あはは」
おかっぱが気持ち悪い笑みを浮かべながら、千鳥足で去っていく。
怪しいというか、もはやわざとじゃないだろうか。
おれは急いで着替え、おかっぱを尾行することにした。間違ってもストーカーではない。



