蝉時雨を追いかけて

 そういえば、そうだ。

だが、なぜあのときは書き込みがされなかったのに、今回は書かれたのだろうか。

なにか意図があるのか? それとも、今回書き込みをされたのはおれのことではなく、あのときの男だったのだろうか。

ファミレスで会っていたと書かれていただけなのだから、可能性がないわけではない。


 ――でも、拓海にとってはイイことよね。


「どういうことだ?」


 ――マネージャーが軽い女ってことは、拓海が浮気相手として付き合える可能性があるってことでしょ?


「そういうことじゃないだろう。付き合えればいいってもんでもない」


 ――それに、浮気のことが部長の耳に触れたら、もしかしたら別れることになるかもしれないじゃない。なんならもうなってるかもしれないわね。


「それは……」


 ――とにかく、オレはこれからも拓海の応援をするわ。それを言いたかったの。それじゃ、ばーいばーいきーん。


 昔聞いた覚えのある別れのあいさつをして、おかっぱは一方的に電話を切った。