蝉時雨を追いかけて

 ――それから、仮入部のときの噂も書き込んであったわ。


「北村麗華のか? 仮入にはきてなかっただろう」


 ――そうね、そのことについてなのよ。これから言うことはあくまでも書き込んであったことだから、お、おおお落ち着いて聞いてちょうだい。


「まずはおまえが落ち着け」


 ――書き込みによると、あの子、すごい男好きらしいの。とにかくイケメンに目がアルって。


「まあ、人間であればたいてい目ぐらいあるだろうな」


 ――それで仮入部期間、色んな部活に参加して、イイ男探しをしていたって。


「それでも見つからなくてテニス部に入ったら、結果的に1番いい男がいたってことか」


 ――そういうこと。わざわざ1番イイ男をオトしたのに、まだ物足りなくて浮気したって書いてあったわ。


「ありえないだろう。おれは浮気相手じゃない。それに北村麗華は拓馬ひとすじで、そんな軽い女じゃない」


 ――そうかしら。


「なに?」


 ――ホラ、もう忘れたの? 先月、マネージャーが部長以外の男とファミレスから出てくるところ、拓海も見てたじゃない。