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おれたちは学校の近くにあるファミレスへやってきた。
ドリンクバーだけを頼んで、おれは普段は飲まないブラックコーヒーを、北村麗華はホットレモンティを1杯目に選んだ。
「実は私、毎日勉強しているので、あまり教えてもらうところがないんです」
向かいに座る北村麗華は、シャーペンの芯をカチカチと出したり閉まったりしている。
手元のものをいじるのは相手に興味がないときという話を聞いたことがある。
おれはなんとか盛り上げようと試みた。
「ああ、そうなんだ。むしろ拓馬に教えるくらい?」
「さすがに3年生の内容まではわかりませんよ。拓馬くん、勉強は苦手なんですよね」
北村麗華はシャーペンいじりをやめた。やはり、拓馬の話題には興味があるらしい。
「ああ、それ以外は完璧だけど」
「拓海さんが教えてあげたりはしないんですか?」
そんなこと、考えてもみなかった。
あいつはおれのライバルで、ライバルに勉強を教えられるほど、おれは人間ができていない。
「人間、少しくらい弱点があったほうがいいんだよ」
「そうなんですかね」



