たしかにおれは、おかっぱと練習をはじめるずっと前から、毎日ランニングをしていた。
だから体力には自信があったんだ。だけど、まさかそれを拓馬が知っているとは思わなかった。
拓馬に知られないよう、こっそり努力していたつもりだったのに。
「ああ、そのとおりだよ」
「毎日9時。今までずっと変わらなかったのに、昨日はいつもより早く家を出たみたいだね」
「なんで知ってるんだよ」
「母さんに聞いた。なあ拓海、早くに家を出て何をしていた?」
「なにと言われても」
もちろん、偶然拓馬と北村麗華のキスシーンを見てしまったとは言えない。拓馬は頭を掻いて、立ち上がった。
「わかった。素直に聞くよ。昨日公園で、僕たちの写真を撮ったのは拓海か?」
「え?」
「拓海が何のために写真を撮ったのかは知らないけれど、もう止めてくれないか。迷惑なんだ」
拓馬はそのまま、おれの返事も聞かずに部屋を出ていった。
おれはその後ろ姿を、呆然と見送ることしかできなかった。
だから体力には自信があったんだ。だけど、まさかそれを拓馬が知っているとは思わなかった。
拓馬に知られないよう、こっそり努力していたつもりだったのに。
「ああ、そのとおりだよ」
「毎日9時。今までずっと変わらなかったのに、昨日はいつもより早く家を出たみたいだね」
「なんで知ってるんだよ」
「母さんに聞いた。なあ拓海、早くに家を出て何をしていた?」
「なにと言われても」
もちろん、偶然拓馬と北村麗華のキスシーンを見てしまったとは言えない。拓馬は頭を掻いて、立ち上がった。
「わかった。素直に聞くよ。昨日公園で、僕たちの写真を撮ったのは拓海か?」
「え?」
「拓海が何のために写真を撮ったのかは知らないけれど、もう止めてくれないか。迷惑なんだ」
拓馬はそのまま、おれの返事も聞かずに部屋を出ていった。
おれはその後ろ姿を、呆然と見送ることしかできなかった。