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ゲジはテニスコートにあるベンチで、足を組んで座っていた。
上はワイシャツ、下はジャージという謎のスタイルだ。
あいかわらず濃いゲジゲジまゆ毛を、やさしくなでている。
普段は切れ長の目が、不自然なくらいにとろーんとしているので、このまゆ毛を気に入っているのかもしれない。
「遅いっ!」
突然ゲジがまゆ毛いじりをやめて叫んだ。
ゲジはどうしようもないくらい声がでかい。
つねに叫んでいるような声のでかさで、ひそひそ声が一キロ先まで聞こえてしまうほどだ。
「すいません」
迫力に押されて思わず謝ってしまったけど、よくよく考えると、まだ8時2分前だった。
「今日はっ、おまえらに大切な話があってっ、呼び出したんだっ!」



