蝉時雨を追いかけて

 

***


 練習終了後、公園を出て、おかっぱの家経由で帰ることにした。

おかっぱは自転車を引いて、おれのすぐ右側を歩いている。汗臭い。

おれは気付かれないように、そっと離れた。


「オイ、拓海」


 ばれたか、と思ったが、違った。おかっぱはまっすぐ前を見ていた。

全国チェーンのレストランから人が出てきた。カップルのようだった。

ふたり並んで、おれたちには背を向けて歩いていく。