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拓馬が死んでから、北村麗華は毎日拓馬の部屋を訪れていた。
遺影の前で、ただずっと、正座している。
「北村さん」
おれが部屋に入っても、声をかけても、彼女は振り向かない。
おれには、小さな背中が見えている。
夕方になっていた。西日が入るこの部屋は、夕方になるとかなり眩しい。
北村麗華は身じろぎもせず、オレンジ色の光で背中を染めている。
「拓馬くん、死んじゃったんですよね」
北村麗華が、突然、ぽつりとつぶやく。
「ああ、そうだな」
「人はいつか死ぬって、わかってるはずなのに、どうしてこんなに悲しいのかな」
「……北村さん、これ、拓馬からだ」
おれは、北村麗華に宛てられた拓馬からの封筒を渡した。
彼女の分も読んだから、中身は憶えている。



