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ようやく5周を走り終え、おれたちはテニスコートに戻った。
おかっぱの髪の先からは蛇口を捻ったように、汗がだらだらと流れていた。
「おかっぱ。こんな涼しいのに、汗かきすぎだろ」
「5キロも走ったんだから、これが普通よ。なんで拓海はそんな余裕なのよ」
「あれだけゆっくり走ったからな」
他の部員は全員すでに走り終えていた。
コートの端に座って休んでいる人もいれば、すでにラケットを使って練習を始めている人もいる。
「オイ、拓海」
おかっぱに声をかけられて、その視線の先を見た。
コート内に置いてあるベンチに座って、拓馬と北村麗華が楽しげに話をしていた。
「手遅れだったかもしれないわね」
その通りだな、と思った。ふたりが付き合い始めるのは、もう時間の問題のような気がした。



