おれの中から、悪いおれが完全に消え去った。北村麗華はおれと同じだった。
そういえば、最初の自己紹介のとき、まともに話せていなかったじゃないか。
彼女も、過去の自分から脱却するために、努力しているんだ。
おれは拓馬に追いつくため。北村麗華はきっと、拓馬好みの女性になるため。
「でも、拓馬くんがいなくなったら、またしゃべれない私に戻ってきちゃって」
「だから田端荻窪を無視してたのか」
「そうです。拓馬くんが隣にいてくれたから、私は新しい自分を演じることが出来た。でも、今の私は元のだめな自分」
「そんなことないだろ。今おれと普通に話ができてるじゃないか」
「それは、拓海さんだからだと思います」
「おれだから?」
その言葉と、まっすぐな視線にどきっとした。北村麗華はおれの目をじっと見て、ほほ笑む。
そういえば、最初の自己紹介のとき、まともに話せていなかったじゃないか。
彼女も、過去の自分から脱却するために、努力しているんだ。
おれは拓馬に追いつくため。北村麗華はきっと、拓馬好みの女性になるため。
「でも、拓馬くんがいなくなったら、またしゃべれない私に戻ってきちゃって」
「だから田端荻窪を無視してたのか」
「そうです。拓馬くんが隣にいてくれたから、私は新しい自分を演じることが出来た。でも、今の私は元のだめな自分」
「そんなことないだろ。今おれと普通に話ができてるじゃないか」
「それは、拓海さんだからだと思います」
「おれだから?」
その言葉と、まっすぐな視線にどきっとした。北村麗華はおれの目をじっと見て、ほほ笑む。



