「珍しいじゃん。そんなに携帯が忙しいのは」

「あー友達がさ、昼休み俺が消えるからって、しつこくメールしてくるんだよ」

ギシと音をたてて、岡田は椅子にもたれた。

あたしはコップに溜めたお茶を、どこかのお婆さんのように、ゆっくり飲み干した。

コツンと当たるあたし達の頭は、何も考えちゃいない。

でもきっと、数学の方程式よりも難しいだろう。


「欝陶しいなら、電源切るけど」

岡田が今日、初めてあたしの前にまともに現れた。


細いフレームの眼鏡。

そのせいか大きく見える瞳。

真っ直ぐ整えられた黒髪。

男か女か見分けがたい顔。

小柄なのに筋肉質な腕。

学ランからうっすら出してる首は女のように綺麗。


これでわかるように、岡田は結構良い容姿をしている。